第15回目となる出雲國神仏霊場合同祭事・世界平和祈願祭は、令和元年 5月19日に執り行われました。場所は、朱の楼門が鮮やかな第20番霊場・日御碕神社。初夏の眩しい日差しと、澄んだ青空を背景に、より一層鮮やかさを増していました。
素盞鳴尊と天照大御神を祀り、「日本の夜を守る」(※)日御碕神社。
一方、明治36年(1903)に設置された、出雲日御碕灯台は、島根半島の最西端の断崖にそびえ立ち、海の安全(特に夜)を守っている場所。今回の合同祭事・世界平和祈願祭は、そんな二大スポットが主役となり、出雲日御碕灯台柏陵園特設会場にて行われました。
※神勅【伊勢大神宮は日の本の昼の守り、出雲の日御碕清江の浜に日沈宮を建て日の本の夜を守らん】(訳:伊勢神宮が「日の本の昼を守る」のに対し、日御碕神社は「日の本の夜を守る」)より。
設立趣意書にもある通り、「社寺縁座の会」は神仏や宗派を超えて20の社寺が集まっています。祭事が始まると、社寺の皆さんが一列になって私たちの前に現れました。
神職の方々は、「きりぬさ」という紙を撒き、そして住職の方々は、蓮の花びらを模した「散華(さんげ)」紙を撒きながら入って来られました。これは、祓い清めるためだそう。
そのみたこともない光景に心を奪われました。散華には、カラフルな絵が描いてあり、意外性にびっくり(ものすごく可愛い)。
欲しいけど、いいのかな?と戸惑っていると、「拾っていいんだよ」と心の中を見透かされたかのように言われました。「お財布の中に入れたらいい」ということで、今でも大切に入っています。
合同祭事・世界平和祈願祭は、このように海に向かって祭壇が設けられ、行われました。
美しい自然を目の前に、20社寺の神職、住職の皆さんが勢ぞろいするという状況。改めて感動を覚えました。
時折、飛んでくるのはウミネコ。日御碕の西に浮かぶ、経島(ふみしま)はウミネコの繁殖地として、国の天然記念物に指定されています。
豊かな自然と、生命の存在を感じながらとても貴重な時間を過ごしている、と実感できました。何より、とても清々しい気持ちになりました。
合同祈願祭では、神職が祝詞、住職がお経を唱えます。それは一見不思議な状況かもしれません。でも、世界が平和であるように、かけがえのない命を守ることはどんな世界にいようとも共通のはず。
宗教・宗派などの違いを超えて祈願するこの時間は、多様化する現代においてとても意味があると思いました。
一年に一度の出雲國神仏霊場合同祭事・世界平和祈願祭。20社寺一周するのにも20年かかりますね!
2020年は、松江市の八重垣神社で執り行われます。社寺の数ほど、参加者の数ほど、楽しみ方は様々。自分自身も今度は何を想うのか。今から心待ちにしています。
(写真/取材:デジタルハリウッドSTUDIO米子)