第19回目の出雲國神仏霊場合同祭事・世界平和祈願祭は、 5月19日に執り行われました。

新緑に囲まれた、静かな山の中腹にある峯寺には、朝から準備のため大勢の人で賑わっていました。かといって、決して騒がしいわけではない、凛とした雰囲気が漂う中、三刀屋太鼓の奉納演奏「平和を」からスタート。

あどけない子どもたちの表情が急に切り替わって、力強く太鼓を叩く姿にこちらも熱くなりました。

平和を願う祭典にふさわしい演目からの幕開けです。

余韻が冷めやらぬまま、合同祭事本編へ。

合同祭事の様子は、今年もダイジェストを作っておりますので、こちらをご覧ください。

となえことば奉唱(僧職)

となえことば奉唱(神職)

深野神楽保存会の皆さんの演目「磐戸」

今回の合同祭事・世界平和祈願祭、もう1人の主役と言っても過言ではない人物が医学博士・文芸家である永井隆氏です。幼少期を三刀屋町で過ごし、生まれ育った家も残されているそう。

自らも原爆被害に遭いつつ、医師として尽力し平和を訴え続けた永井博士の姿勢は、合同祭事に通じるものがあります。小学生の平和賞受賞作品の朗読(代読)には、涙腺が緩む場面も……。峯寺観音堂での永井博士展示やツアー「永井博士の散歩道」も同時開催されており、合わせてご覧になった方も多くいらっしゃいました。

三刀屋高校の皆さんは、ボランティアも積極的にされており、明るい挨拶で会場に華を添えてくださいました。いろいろ調べて、来場者を楽しませる工夫をされたんだなと伝わりました。若い方々にも合同祭事を体感していただけたのは、今後にも繋がりますね。

そして、合同祭事の後に続き「柴燈大護摩供養」が行われました。1300年前から伝わる祈りの秘法だそう。

山伏の皆さんの行列に我々もついて行くと、青柴がこんもりと積まれた護摩壇が目に入ってきました。皆さん願いごとが書かれた護摩木の諸願成就を祈願するためのもの。山伏と住職が護摩木、一本一本に祈りを込めてから火の中に入れる姿は、この伝統が伝わる1300年前にタイムスリップしたかのようです。

時折響き渡る法螺貝の音色、参拝者の皆さんの読経が相まって、厳かな美しさを醸し出していました。

合同祭事の魅力は、開催社寺の個性が光る点にあります。峯寺は大自然に囲まれ、歴史ある荘厳さを感じられる一方で、くつろげる居心地の良さがあります。地域の皆さんの温かさと、熱い想いが感じられる合同祭事となりました。

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