出雲國神仏霊場 社寺縁座の会 第十九番 長浜神社 秦 宮司インタビュー

インタビュアー:第21回合同祭事を長浜神社で迎えるにあたり、一番大切にされたことはなんですか?

秦 宮司:

今回のような大きな祭事を長浜神社で執り行うにあたり、まず大切にしたのは、神社と地域の皆さまとのつながりを築くことでした。

これまでは、地域の方々との関係が十分に築けていない部分もあったため、祭事について説明し、さまざまなお話を伺いながら、協力をお願いするところから始めました。

大きな祭事を実現するためには、多くの方の理解や支えが欠かせません。地域の皆さまとの信頼関係を築き、協力していただける土台を整えることから着手しました。

インタビュアー:合同祈願の前に湯立神事(湯を用いてお祓いやお清めを行う神事)がありましたが、どのような神事か教えてください。

秦 宮司:

かつて出雲大社の祭事では、神事の舞や奏楽、太鼓などを、それぞれ特定の家が代々担っていたと伝えられています。現在の神職につながる家々も、その役割を受け継いでいたといわれています。

その湯立という“お祓いをする”“お清めをする”という神事を司っていた我々のこの社家を絶やすことなく文化伝承していこうということで、祭典の中ではお清めの形を取らせていただきました。

そういった伝承も含めて形を残すため、今回、修祓(しゅばつ)*の代わりに湯立神事をさせていただいたところです。

*修祓(しゅばつ)…神社やお寺の祭りの前で、神様を招く前に心身の罪や穢れを祓い清めるお祓いの儀式

インタビュアー:世界では争い事や災害などが続いています。このような時代にこの祈願祭がどのような役割があると思いますか?

秦 宮司:

そうですね。まずは「示すこと」かなと思っております。

「示す」という言い方だと少し上からになるかもしれませんが、神様と仏様が手を取り合う、そういった祈りの場がこの出雲の地、島根県・鳥取県にあることを、まずは多くの方に知っていただくこと。それが、平和を祈願する、祈念するきっかけになるのではないかと思っています。

その中でさまざまな祈りの形や宗教、考え方があっても、それによって争うことはないということを示していくことも大切だと思います。

こうして多くの方に参拝していただいたり、SNSなどを通してこの祈願祭を知っていただいたりすることで、「平和はこうした小さなことから生まれてくるんだ」と感じていただけたらと思います。

争いのない世の中にしていくための一つのきっかけになれば、という思いで今回の祭事を執り行いました。

インタビュアー:地域の皆さんには、この祭事をどのような気持ちで受け止めてもらえたらという思いがありますか?

秦 宮司:

20年以上続いている社寺縁座の会もそうですし、地域社会においても、代替わりが進んでいます。

何も継承されないまま若い世代へ引き継がれたり、文化や伝統を知らないことで「もうやめましょう」という空気が生まれたりすることもあります。

そうした中で、この祈りの形を次の世代へ継承し、伝えていくことが大切だと思っています。
若い世代の方々が頑張り、さまざまな経験をされてきた諸先輩方には、その経験や文化を教えていただく。今回の祭事が、そうした世代をつなぐきっかけになればという思いがあります。

今回、座員の皆さんにも、そうした思いを持って祭事に臨んでいただきたいとお願いしました。

インタビュアー:平和を願う気持ちを日々の暮らしの中で大切にしてもらうために、私たち一人ひとりができることはありますか?

秦 宮司:

今は情報化社会、多様化する社会の中で、いろいろな生活のあり方があります。

そんな中でも、例えば朝、隣の家の人に会った時に「おはようございます」と挨拶をするかどうか。そういった小さなことでも、大きく変わるのではないかと思っています。

日々の挨拶や、ご飯を食べる時の「いただきます」など、小さなことから感謝や人とのつながりを持つこと。それが、ひいては大きな平和につながっていくのではないでしょうか。

まずは、そうした身近な小さなことから始めていただければと思っています。


令和8年度 第21回 出雲國神仏霊場合同祭事 世界平和祈願祭が開催されました

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