雲樹寺・醍醐住職へのインタビュー

インタビュアー:新型コロナウイルスの影響を受けて、本来は昨年開催するところ、1年越しの開催となりました。4月に晋山式が行われ、住職になられてはじめて神仏霊場の大きなイベントがありました。むかえるにあたっての心構えや心がけていたことを教えてください。

醍醐住職:これという決まった想いというのは全然ございません。平和とは何かというのを常に考え続けておりましたが、結局大きい意味の平和なんていうのは、私ごときがどうにかできることではないのです。

人をたくさん集め、一緒に「ああ楽しいな」っていう想いを共有して、それで得られるものが明日につながるのであれば、それはもう平和につながることじゃないかと思いまして。

多くの方とともに、がむしゃらにこの祭典を成功させるようと思って。雲樹寺のありとあらゆる窓や門を開放してみなさまをお招き入れる、そういった準備をしてまいりました。

みなさま方に少しでも「今日は楽しかった」とか「今日行った場所は雲樹寺というところらしい」ということでも構いません。

思い出を持ち帰って、そして明日からもまたこういう気持ちになれたらいいな、と思いながら過ごすことができるなら……。それは次の平和につながる新しい一歩になりうるんじゃないかなと思っております。

インタビュアー:「1000年続く雲樹寺」をテーマとされています。伝統を守ることも必要な一方で、時代の変化に対応したお寺のあり方も問われていくと思います。醍醐住職は、積極的に新規コンテンツなど新しいものを取り入れていらっしゃる印象がありますが、当面の(近い未来の)展望や計画があればおしえてください。

醍醐住職:私が何か描いたところで変わるものではございません。時代によって流行り廃りは変わってくるものです。しかし、その中でどんなに時代が変わろうとも「仏教がどこかに必ずある」。こういう状況を作るには、どうしたらいいかを考え続けております。

そのためには、例えば「あんな新しいものは仏教には合わない」というような排他的な姿勢ではなく「新しいものを仏教に取り込むにあたってどんな形で変えていこうか」と。

雲樹寺が持つ、そして私の代でできる限り「仏教」をどういう風にみなさま方に、新しい流行りに乗せて発信することができるのか?こういう風なことを考えております。

ですから、今私がどうこうとは全くございません。向こうから来るものを受け入れて、そして新しい雲樹寺にしていく。こればかりでございます。いかに取り込むかにございます。

インタビュアー:住職になられたことを機に、神仏霊場に雲樹寺としてどうかかわっていきたいと思っていらっしゃいますか?

醍醐住職:結局私も20社寺の中の一つ。雲樹寺というたまたまちょっと大きな箱を取り持っているだけの人間に過ぎません。

私が何かをしようなどという形で、会を変えることはないでしょう。「世界平和を祈願する」。この出雲の地という神々の発祥の地から世界平和を祈願するという取り組みは、絶対に失わせてはならないと考えております。


より多くのところへ発信していき、海を越えた先でも世界平和を、日本の八百万の神を祈っているということが、誰の目にも耳にも聞こえてくるような。そんな大きさにできていけばいいなと考えておりますが。

みなさまと足並みをそろえながら良いようにやっていくのが何よりかと思いますので、より協力しながら素晴らしい形を求めていければなと思います。

※令和5年度第18回出雲國神仏霊場合同祭事・世界平和祈願祭は、詳細が決まりましたら、こちらのサイトでお知らせいたします。

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